筋トレを休むと、筋肉はどれくらいの期間で落ちるのか
筋トレを1週間、2週間と休んだあとに体組成計に乗ると、体重や筋肉量、除脂肪量の表示が下がっていることがあります。ただし、表示が下がったことと、筋肉そのものが減ったことは、同じではありません。休んでいるあいだに減りやすいものは、筋肉のほかにもあるからです。この記事では、トレーニングを中断した研究で何がどの時点で動いていたのか、体組成計の数字に何が混ざるのか、再開したあとに何がどう戻るのかを、分けて整理します。
筋肉がどれくらいの期間で落ちるかに、一律の答えはありません。何が落ちるかによって、動く時期が違うからです。2週間ほどの中断では最大筋力はおおむね保たれていたという研究が多く、筋肉の大きさは数週間の単位で小さくなる方向に動き、その幅には大きな個人差がありました。休止中に体重や体組成計の除脂肪量が下がる場合、そこには筋肉のほかに、筋肉に蓄えられていたグリコーゲンと、それに結びついた水分の減少が混ざり、体組成計はこの2つを区別できません。再開後に早く戻る現象(いわゆるマッスルメモリー)は研究でも観察されていますが、人での仕組みはまだはっきりしていません。
「筋トレを休むと筋肉が落ちる」は、何が、どれくらいの期間で落ちる話なのか
筋トレを休むとどうなるのか。年末年始や出張、体調不良などで、1〜2週間トレーニングが途切れることがあります。トレーニングを中断したときに起きる変化はディトレーニングと呼ばれ、多くの研究があります。国立スポーツ科学センターの研究者による総説は、これを4週間未満(およそ1ヶ月未満)の短期と、4週間以上の長期に分けて整理しています[1]。
研究を読むときに分けておく必要があるのは、「落ちる」が何を指しているかです。筋トレを休む期間が同じでも、最大筋力、瞬発的な力、筋肉の大きさ、そして体組成計の数字は、同じ速さでは動きません。ひとつの指標で起きたことを、別の指標にそのまま当てはめることはできません。
もうひとつは、誰を対象にした研究かです。競技選手なのか、ジムで鍛えている一般の人なのか、トレーニングを始めたばかりの人なのか。年齢はどうか。結果はこれらによって分かれます。
休むかどうかの判断については、休むのが怖い、を分解するで扱っています。この記事が扱うのは、休んだあとに数字をどう読むかと、再開したあとに何が戻るかです。
1週間・2週間の中断で、筋力はどうなっていたか
普段から鍛えている選手が2週間トレーニングを中断した研究では、ベンチプレス、スクワット、等尺性(関節を動かさずに力を出す形)と求心性(筋肉が縮みながら力を出す形)の膝伸展筋力、垂直跳びのいずれにも、有意な変化は見られませんでした[1]。
ただし、遠心性の膝伸展筋力は12%低下していました[1]。遠心性とは、筋肉が引き伸ばされながら力を出す局面のことで、重りをゆっくり下ろす動作がこれにあたります。
サッカー選手20人を対象に、シーズン終了後の2週間、トレーニングを完全に止めた群と続けた群を比べた研究でも、膝の曲げ伸ばしの筋力は、どちらの群も開始時と同程度でした[2]。
一方で、すべてが保たれるわけではありません。ウエイトリフティングのように技術の比重が大きい種目では、2週間の中断でも競技種目の挙上重量が5.1〜6.6%下がりうるとされています[1]。前出の総説は、「筋力は最大4週間のディトレーニングでも維持されるが、アスリートの遠心性筋力と競技特異的なパワーは大幅に低下する可能性がある」とまとめています[1]。
1週間の中断を調べた研究もあります。トレーニング経験が1年以上ある成人を対象に、9週間のプログラムの途中で1週間だけトレーニングを完全に止めた研究では、スクワットの最大挙上重量の伸びは、止めた群が約13kg、続けた群が約16kgでした[3]。1週間の中断でも、筋力の伸びはやや小さくなる傾向がありました。
筋肉の大きさは、数週間の単位で動く
筋力が保たれていることと、筋肉の大きさが保たれていることは、同じではありません。筋力には、筋肉の量だけでなく、神経系がどれだけ筋肉を動員できるかも関わっていると考えられているためです[1]。
前節の1週間の研究では、筋肉の厚みの伸びは、止めた群と続けた群で意味のある差がありませんでした[3]。止めた群のほうが大きく伸びたわけでも、小さくなったわけでもない、ということです。
トレーニング経験のない若い男性24人が10週間トレーニングを行い、その後6週間中断した研究では、最初の3週間でレッグプレスの最大筋力を落としたグループはありませんでした[4]。それでも6週間の中断のあと、太ももの筋肉(外側広筋)の断面積は平均4.9%小さくなっていました[4]。著者らは、3週間の中断では、筋肉の断面積がいくらか減っても筋力は保たれうると述べています[4]。
この研究は、個人差の大きさも示しています。トレーニング期間に筋肉が大きく増えた人ほど中断で減る幅も大きく、平均で10.5%小さくなっていました。増え方が小さかった人たちの減少は、1%に届いていません[4]。
ここで挙げた研究の対象は、若い人や競技選手が中心です。年齢やトレーニング歴が違えば、結果も変わりえます。
筋トレを休むと体重が減るのは、まずグリコーゲンと水分
体組成計の数字を読む前に、休止中に筋肉以外で何が減るかを見ておきます。
筋肉は、炭水化物をグリコーゲンという形で蓄えています。筋グリコーゲン1gには、およそ3〜4gの水が結びついています[6]。グリコーゲンを意図的に増やすと、体重はおよそ1.0〜1.5kg増え、その増加の多くは体の水分によるものです[6]。
この量は、トレーニングをやめると減る方向に動くことが報告されています。持久系の選手がトレーニング量を4週間減らした研究では、筋グリコーゲンが18%減っていました[5]。トレーニングをやめて5日の時点で、グリコーゲンを合成する酵素の働きが下がることも報告されています[5]。
休んでいるあいだに食事の量、とくに炭水化物が減っていれば、グリコーゲンはさらに減りやすくなります。食べる量が減れば、消化管の中身の重さも軽くなりえます。
これらは体重の減少として現れます。そして体組成計の上では、その多くが除脂肪量の減少として表示されえます。体組成計は体の水分量から除脂肪量を推定しているので、水分が減ればその分は除脂肪量の側に出ます。体重と体脂肪率から除脂肪体重を計算している場合も、体脂肪率がほとんど動かなければ、体重の減った分の大部分が除脂肪体重の低下になります。体脂肪率が15%のままなら、体重が1kg減ると、除脂肪体重は0.85kg減る計算です。除脂肪体重の計算については、除脂肪体重を計算したあと、それを何に使うのかで扱っています。
体組成計の筋肉量・除脂肪量は、水分の減少と筋肉の減少を区別できない
家庭用の体組成計は、体に微弱な電流を流したときの電気抵抗から体の水分量を推定し、そこから除脂肪量を計算しています。筋肉量の表示は、そこからさらに推定を重ねた値です。仕組みは体組成計の精度は、数字の正しさを意味しないで詳しく扱っています。
グリコーゲンの増減が電気抵抗にどう現れるかは、研究によって一定していません。多周波の機器では、グリコーゲンを増やしたときに細胞内の電気抵抗が下がったという報告があります。グリコーゲンを減らした条件では、抵抗が上がったという報告と、変わらなかったという報告に分かれています[6]。体組成計がグリコーゲンの増減をどこまで拾うかは、決まっていません。
条件をそろえても、数字はもともと動きます。朝7時に、48時間以上激しい運動をせず、24時間以上アルコールを摂らず、10時間以上食事もカフェインも摂らないという条件で測った研究でも、除脂肪量は日をまたぐと0.6kgほど動いていました[8]。同じ日に測り直したときの一致度は極めて高く、機械のぶれではありません[8]。これは多周波の機器を使い、実験室で条件をそろえたときの値です。
体組成計より精密な方法で測っても、同じ問題は残ります。プロサッカー選手10人を、基準法のひとつであるDXA(二重エネルギーX線吸収測定法)で測った研究があります。5週間のオフ(最初の2週間は完全な休養、残りの3週間は個別のトレーニング)のあと、全身の除脂肪量は63.2kgから61.9kgへ、約1.3kg減っていました[7]。ただし部位別に見ると、腕と脚の除脂肪量には変化がなく、減っていたのは体幹でした[7]。その後6.5週間の再トレーニングで、除脂肪量は約1.1kg増えています[7]。この研究は、除脂肪量の中身(筋肉・水分・グリコーゲンなど)を分けて測ってはおらず、著者ら自身も、食事の影響は十分に管理できていないと述べています[7]。
除脂肪量が1kg前後動くことは、精密な方法で測った研究でも起きています。そして、その数字だけでは、何が減ったのかは分かりません。
体調不良で休んだときは、別の条件も重なる
トレーニングを休んだ理由が体調不良である場合、数字に影響する条件が、同時にいくつも変わります。
- 食事の量が普段より少なくなり、グリコーゲンと消化管の中身が減りやすくなる
- 日常の活動量が、トレーニング以外の部分でも下がる
- 体の水分の状態が普段と違い、体組成計の電気抵抗に影響しうる
ここまでに挙げた研究の多くは、健康な人がトレーニングだけを止めた条件で行われています。体調を崩していた期間の数字に、その結果をそのまま当てはめることはできません。その期間の数字は、普段の数字と同じ物差しでは比べにくい、ということになります。体重が水分でどれだけ動くかについては、一晩で体重が1kg増えた、それ、脂肪ではなく水分かもしれませんで扱っています。
筋トレを再開すると体重が増えるのも、筋肉だけではない
トレーニングと食事が戻ると、グリコーゲンとそれに結びついた水分も戻ってきます。グリコーゲンを増やした研究では、体重がおよそ1.0〜1.5kg増え、除脂肪量の推定値も約1.5kg増えていました[6]。再開して数日で体重や除脂肪量が戻ったとしても、それは筋肉が戻ったことと同じではありません。休止中の低下と同じく、再開直後の体重増加にも、筋肉以外のものが混ざります。
再開した日の重量や回数は、体組成計とは別の手がかりになります。電気抵抗からの推定を経ない、直接の記録だからです。ただし、ここにも読み分けが要ります。2週間の中断では、最大筋力はおおむね保たれていた一方で、遠心性の筋力や、技術を要する種目の挙上重量は下がりうることが報告されています[1]。再開した日に重量が落ちていても、そのまま筋肉の減少とは読めません。反対に、重量が戻っていても、筋肉の大きさが戻っているとは限りません[4]。
体組成計の数字とトレーニングの記録は、別々のものを測っています。どちらか一方だけでは、休止中に何が減り、再開後に何が戻ったのかの説明はつきません。
マッスルメモリーは本当にあるのか
マッスルメモリーとは、中断で落ちた筋力や筋肉の大きさが、再開後に、最初に身につけたときより早く戻る現象を指す言葉です(英語では muscle memory)。研究の場でも、この言葉が使われています[10]。
再開後の戻りが速いことには、研究の根拠があります。トレーニング経験のない人が6週間のトレーニングのあとに3週間中断すると、最大筋力と筋断面積はいったん低下しましたが、その後6週間のトレーニングで、続けていた群と同程度まで増えました[1]。3週間の中断と6週間の再開を繰り返したサイクルでも、24週間後の筋肥大は、続けた場合と同程度だったと報告されています[1]。
長期間の中断を調べた研究もあります。トレーニング経験のない成人(平均32歳・女性を含む)を、10週間鍛えて10週間(2ヶ月半ほど)休み、また10週間鍛える群と、10週間の待機のあと20週間続けて鍛える群に分けた研究では、10週間の中断で筋力と筋肉の断面積はいずれも下がりました[9]。それでも再開後の最初の5週間の伸びは、もう一方の群がトレーニングを始めた最初の5週間の伸びより大きく、最終的な到達点は両群で同程度でした[9]。戻るまでの期間は、中断の長さや対象によって違います。
その仕組みとしてよく挙げられるのは、トレーニングで増えた筋線維の核(筋核)が、休んで筋肉が細くなっても失われずに残る、という説です。動物の研究ではこれを示唆する結果が出ています。ただし、人で同じ仕組みが成り立つかは、まだはっきりしていません。総説論文の著者らも、人でマッスルメモリーが本当にあるのかを確かめる研究が要る、と結んでいます[10]。
マッスルメモリーは本当か、嘘か。研究から言えるのは二つです。再開後に早く戻ることは観察されている。けれども、人でなぜ早く戻るのかは、まだ決まっていない。ここで挙げた研究の中断期間は最長で10週間で、対象は主に若い人です。年齢による違いや、何年も前、たとえば学生時代に鍛えていた筋肉が戻るかどうかは、これらの研究の範囲を超えます。
何が、どの時点で動いていたか
ここまでの研究で測られていたことを、時点ごとに並べます。これは「何日休めば大丈夫か」の目安ではありません。研究で測られた時点と、そこで起きていたことの一覧です。
- 数日:トレーニングをやめて5日で、グリコーゲンを合成する酵素の働きが下がる[5]。筋グリコーゲン1gには水3〜4gが結びついている[6]
- 1週間:中断を挟んでも、筋肉の厚みの伸びは続けた群と差がなかった。筋力の伸びはやや小さい傾向[3]
- 2週間:最大筋力はおおむね保たれていた。遠心性の膝伸展筋力は12%低下[1][2]
- 3週間:最大筋力を落としたグループはなかった研究[4]と、最大筋力と筋断面積が低下し、その後6週間の再開で続けた群と同程度に戻った研究[1]がある
- 4週間:持久系の選手で、筋グリコーゲンが18%減少[5]
- 6週間:筋肉の断面積が平均4.9%減少。減り方の個人差が大きい[4]
- 10週間(2ヶ月半ほど):筋力と筋肉の断面積が低下。再開後5週間の伸びは、初めて鍛えた時期の伸びより大きかった[9]
数字が下がった理由をひとつに決められないのは、休止という同じきっかけで、水分もグリコーゲンも筋肉も、ときには脂肪も、同時に動きうるからです。違うのは動く速さです。増える方向で同じことが起きる様子は、食べ過ぎた翌日の体重は、何が増えたのかで扱っています。
休止中の除脂肪量の低下は、筋肉の減少と同じではない。再開後の上昇も、筋肉が戻ったことと同じではない。
休んでいた期間の前後を、1つの時間軸に並べる
体組成の数字を日々のコンディションの判断に使うとき、手がかりになるのは、同じ期間に食事やトレーニングがどう動いていたかです。ところが、体組成は体組成計のアプリに、食事は食事記録のアプリに、トレーニングはまた別のアプリに入っていて、同じ期間に起きたことを1つに並べる場所がありません。
meiseki OS は、そこを引き受けるために作っています。休んでいた期間を記録として残し、その前後の体重と除脂肪体重を、同じ時期の食事の量やトレーニングの重量・回数と、同じ時間軸に並べて映します。
筋肉が落ちたかどうかの判定はしません。何が、いつ動いたのかを、そのまま並べます。判断は、あなたに残ります。
頭の働きは、身体のコンディションと切り離せません。meiseki OS は、知的プロフェッショナルの日々のコンディション管理(体調管理・コンディショニング)のための仕組みで、疲労・情報過多・体調のノイズに判断を曇らされず、自分の状態を正しく踏まえて決められる状態を「明晰な意思決定」と呼んでいます。散在する生体・栄養・運動・主観データの統合と計算をシステムが裏側で肩代わりし、整えた身体を土台に、有限な思考エネルギーを判断そのものに残す。そのための「静かな鏡」として、meiseki OS(HLG Dynamics)は設計されています。
よくある質問
筋トレを休むと、筋肉はどれくらいの期間で落ちますか?
一律の期間は出ていません。何が落ちるかで時期が違うためです。2週間ほどの中断では最大筋力はおおむね保たれていた研究が多く[1][2]、筋肉の大きさが小さくなった報告は数週間の中断のものです[4]。ただし同じ2週間でも、遠心性の筋力は12%下がっていました[1]。
筋トレを2週間休むと、筋肉は落ちますか?
一律には言えません。普段から鍛えている人が2週間中断した研究では、最大筋力はおおむね保たれていました[1][2]。筋肉の大きさは、数週間の中断で小さくなった報告があり、減り方には大きな個人差がありました[4]。
筋トレを1週間休むだけでも、影響はありますか?
トレーニング経験のある成人が、9週間のプログラムの途中で1週間トレーニングを完全に止めた研究では、筋肉の厚みの伸びは続けた群と差がありませんでした。スクワットの最大挙上重量の伸びは、止めた群が約13kg、続けた群が約16kgで、筋力の伸びはやや小さい傾向がありました[3]。
休んだあと、体組成計の筋肉量(除脂肪量)が1kg近く減っていました。筋肉が1kg落ちたということですか?
その数字だけでは決まりません。休止中は、筋肉に蓄えられたグリコーゲンと、それに結びついた水分も減りやすくなります。筋グリコーゲン1gには水3〜4gが結びついています[6]。体組成計は体の水分量から除脂肪量を推定しているため、こうした減少も除脂肪量の低下として表示されえます。
筋トレを休むと体重が減るのは、なぜですか?
減った分には、脂肪や筋肉のほかに、グリコーゲンと水分、消化管の中身が混ざります。グリコーゲンを増やした研究では体重が約1.0〜1.5kg増え、その多くは水分でした[6]。休止中はその逆向きの変化が起きやすくなります。休んで太るかどうか、つまり脂肪が増えるかどうかは、食べる量と消費の釣り合いで決まり、5週間のオフで脂肪量が約0.5kg増えていた研究もあります[7]。
筋トレを休むと大きくなる、というのは本当ですか?
休んだことで大きくなったという結果は、ここで挙げた研究には見当たりません。1週間の中断を挟んだ研究では、筋肉の厚みの伸びは続けた群と差がなく[3]、3週間の中断と再開を繰り返した研究でも、24週間後の筋肥大は続けた場合と同程度でした[1]。再開後に体重や除脂肪量が増えるときは、グリコーゲンと水分の戻りも含まれます[6]。
筋力が落ちていなければ、筋肉も減っていないということですか?
同じではありません。3週間の中断では、筋肉の断面積がいくらか減っても筋力は保たれうると報告されています[4]。筋力には、筋肉の量だけでなく神経系の働きも関わると考えられているためです[1]。
再開した日、重量が休む前より落ちていました。筋肉が落ちたということですか?
それだけでは決まりません。2週間の中断では、最大筋力はおおむね保たれていた一方で、遠心性の筋力や、技術を要する種目の挙上重量は下がりうることが報告されています[1]。体調不良で休んでいた場合は、筋肉以外の条件も重なります。反対に、重量が戻っていても、筋肉の大きさが戻っているとは限りません[4]。
体調不良で休んだ期間の数字も、同じように読めますか?
そのままでは読みにくくなります。食事の量、日常の活動量、体の水分の状態が、普段と同時に変わるためです。本記事で挙げた研究の多くは、健康な人がトレーニングだけを止めた条件で行われており、その結果をそのまま当てはめることはできません。
再開したら数日で体重や除脂肪量が戻りました。筋肉が戻ったということですか?
それだけでは決まりません。食事とトレーニングが戻ると、グリコーゲンとそれに結びついた水分も戻ります。グリコーゲンを増やした研究では、体重がおよそ1.0〜1.5kg増え、除脂肪量の推定値も約1.5kg増えていました[6]。数日の戻りには、こうした分が含まれます。
マッスルメモリーは本当にあるのですか?どのくらいで戻るのですか?
再開後の戻りが速いことは、研究で観察されています。3週間中断した研究では、その後6週間のトレーニングで、続けていた群と同程度まで戻りました[1]。10週間中断した研究では、再開後の最初の5週間の伸びが、初めてトレーニングを始めた時期の伸びより大きくなっていました[9]。ただし、人で仕組みが成り立つかは、まだはっきりしていません[10]。年単位の中断は、これらの研究の範囲を超えます。
体組成計の数字は、休止中の変化を見るのに使えないのですか?
使えないわけではありません。同じ機器・同じ条件で測り続けた推移は、上がったか下がったかの方向を示します。ただし、その変化が筋肉なのか、水分やグリコーゲンなのかは、数字だけでは分けられません。条件を厳しくそろえた研究でも、除脂肪量は日をまたぐと0.6kgほど動いていました[8]。
meiseki OS は、筋肉が落ちたかどうかの判定をしてくれますか?
いいえ。meiseki OS は、筋肉が落ちたかどうかを判定しません。休んでいた期間を記録として残し、その前後の体重や除脂肪体重を、同じ時期の食事やトレーニングの記録と同じ時間軸に並べて映します。点数をつけることも、行動を指示することもしません。
出典
- 緒方博紀, 鈴木栄子, 山下大地, 大石益代, 田村尚之. 「緊急事態宣言解除後の安全なトレーニング再開のための考慮事項―ハイパフォーマンススポーツセンターのトレーニング指導再開に向けた取組み」. Journal of High Performance Sport. 2021;7:23–37.(4週間未満の短期と4週間以上の長期に分けたディトレーニングの総説。2週間の中断で最大筋力は保たれ、遠心性の膝伸展筋力は12%低下(Hortobágyi et al. 1993)。3週間の中断と6週間の再開(Ogasawara et al. 2013))無料全文(日本スポーツ振興センター・PDF)
- Joo CH. The effects of short term detraining and retraining on physical fitness in elite soccer players. PLoS One. 2018;13(5):e0196212.(サッカー選手20人。2週間の完全な中断で、膝の曲げ伸ばしの筋力は開始時と同程度)無料全文(PLOS ONE)
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- Räntilä A, Ahtiainen JP, Avela J, et al. High Responders to Hypertrophic Strength Training Also Tend to Lose More Muscle Mass and Strength During Detraining Than Low Responders. J Strength Cond Res. 2021;35(6):1500–1511.(若年男性24人。3週間の中断で最大筋力は保たれ、6週間で外側広筋の断面積は平均4.9%減少。大きく増えた人ほど減少も大きい)無料全文(著者最終稿・ユヴァスキュラ大学)
- Barbieri A, Fuk A, Gallo G, et al. Cardiorespiratory and metabolic consequences of detraining in endurance athletes. Front Physiol. 2024;14:1334766.(持久系の選手。4週間のトレーニング減で筋グリコーゲンが18%減少、中断5日でグリコーゲン合成酵素の活性が低下)無料全文(Frontiers)
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- Snijders T, Aussieker T, Holwerda A, et al. The concept of skeletal muscle memory: Evidence from animal and human studies. Acta Physiol (Oxf). 2020;229(3):e13465.(動物では、肥大で増えた筋核が、筋肉が細くなる条件でも失われないことが示唆される一方、人で同じ仕組みが成り立つかは大部分がまだあいまい)無料全文(PMC7317456)
免責:本記事は一般的な情報であり、専門的な助言に代わるものではありません。meiseki OS は、特定のトレーニング・食事の指示や医学的な診断・治療を行うものではなく、あなたの記録を整理し、判断の材料を映す仕組みです。体調を崩している場合や、体重・体組成が短期間で大きく変わった場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。